バイト体験談【イベント会場の警備員をしてた時の話】
こんにちはキャベ太です!(@yakisobaboya)
今回は様々なバイトを経験して来た僕が、バイトを通して経験した個人的に面白かった話をして行こうと思います。
くだらないですけど聞いて下さい。
イベント会場の警備員のバイトをしてた時の話
3年くらい前、僕が日雇いのアルバイトでイベント会場の警備員をやっていた時の話です。
その日のイベントは、デパートにウルトラマンメビウスがやってくるイベントでした。
メビウスがやって来て、子供達が写真を撮って握手をする事が出来るのです。
僕は仕事内容を聞かされないまま現場入りして、現地で初めてメビウスがやって来て警備すると言う内容を聞かされました。
「へーそうなんだ。」
内容を聞かされた時もそれだけの感想しか抱きませんでした。
そんなことより早く帰りてー。眠みー。
と、そんな事しか考えませんでした。
メビウスと握手しに会場にはたくさんの子供達がやってくる事が予測されました。
僕達に与えられた役目は子供達を誘導し、列を乱さないように並ばせると言う事です。
10時、12時、14時、16時の全部で4公演が用意されていました。
ひっきりなしに並ばれたらキリが無いので、公演開始5分前を過ぎたら、列に並ばせるのを打ち切ると言うのもまた僕達に与えられた仕事でした。
朝早くから現場入りした僕らは会場の設営をして打ち合わせをしました。
メビウスと言っても所詮、着ぐるみで中身は人です。
大人の僕は当然そんな事は分かっています。
「よろしくお願いします。」
そう挨拶をするとデパートはオープンしました。
最初の公演まで1時間あると言うのに、オープンと同時にたくさんの人が会場にやって来ました。
『うわーだりー。めんどくせー。』
そんな事を思いながら、僕は会場にやって来た人達を列に誘導して行きました。
公演開始の5分前、列には予想を上回るたくさんの人が並んでいました。
「そんなに人気なんだなー、メビウスって。」
と、僕はあくびをしながら思いました。
10時、メビウスがやって来ました。
子供達が騒ぎ始めました。
大人達は一斉にスマホを取り出し、メビウスにカメラを向けました。
そんな歓声に物怖じ一つせず、メビウスはゆっくり堂々と会場に現れました。
子供達が叫んでいます。
その時、僕の中で忘れられていた記憶が読み起こされました。
僕も小さい頃はウルトラマンが大好きだった事。
まだ父が家にいた頃、ウルトラマンの人形を買ってくれとせがんでいた事。
まだ兄と仲が良かった頃、ウルトラマンごっこをして遊んでいた事。
そして何より、僕自身がウルトラマンになりたかった事を。
それに気付いた時、僕は子供達と同様に脚光の眼差しをメビウスに向けていました。
メビウスと写真を撮って握手をした子供達は皆、笑顔で帰って行きました。
子供達の笑顔を見て付き添いの親御さんも幸せそうにしていました。
最初の公演が終わってメビウスがはけて行きました。
『たくさんの人を笑顔にしたい。』
そんな目標を掲げながら、未だ何一つ達成する事が出来ていない僕にはメビウスが輝いて見えました。
オレもあんな風になりたい。
たくさんの人を笑顔にしたい。
そう思った僕は次の公演から声を張り上げていました。
「ウルトラマンメビウスがやってくるの会場はこちらでございまーす!一列にお並びくださーい!」
列に並ぶ子供達は皆ワクワクしていました。
列を打ち切る5分前になってもたくさんの子供達が並んでこようとしました。
目を輝かせて並ぼうとしてくる子供達がいるのに関わらず、列を打ち切るのは心苦しい物がありました。
「すみません。もう打ち切りなんですよ。」
別の警備員さんが並ぼうとする親御さんに声をかけていました。
「もう終わりなんだって。残念だね。」
そう親御さんが言うと子供は泣き出しました。
泣く子供を見ると胸が痛みました。
「いいんじゃないですか」
僕はオロオロする警備員さんに声をかけて子供を並ばせました。
『1人でも多くの人に笑顔になってもらいたい』
そう思った僕は、それから10人くらいの子供を並ばせました。
またメビウスがやって来て会場は歓声に包まれました。
子供達は笑顔になって、親御さんも幸せそうな顔で帰って行きました。
僕は満足でした。
きっとメビウスも満足してるだろう。
そう思いました。
メビウスも子供達もはけて行って、僕は人がいなくなった会場を整理していました。
ふと気付くと、メビウスの着ぐるみを脱いだおじさんが歩いてきました。
午前と午後で中の人が交代になるのでしょうか?
メビウスのおじさんは僕の方までやって来ました。
そして、言いました。
「ちょっと打ち切るの遅くね?」
その後、メビウスに嫌味を言われて凹んだって話です笑