初めて大麻を吸った時

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初めて大麻を吸った時

 

グットトリップだったのか、バットトリップだったのか今考えてもどっちだったのかはよく分からない。

きっかけは友達がくれた事だった。

 

僕は何事も深く考えず行動する性格で、その時も深く考える事はなかった。

大麻をくれた友達と言うと、その友達が良くない友達なんだと思われがちだけど全然そんな事は無い。

真面目だし、派手な遊びをするタイプでもないし、立派な奴だ。

その友達はB-BOYで、ラップをやっていた。

 

そんなこんなで周りの影響とかで吸い始めたんだと思う。

彼が大麻をやっている事は薄々気付いていた。

時々様子がおかしかったり、目が不自然に充血している事があった。

彼と会う時は一緒にジムに行って、サウナに行くのが定番の流れだ。

 

 


  

その日も、一緒にサウナに行くことになっていて、駐車場で待ち合わせた。

 

「今日はサウナに行く前に渡したい物があるんだ」

顔を合わせて早々にそうと言われ

 

「なんだろう。」

と思いながら僕は話しを聞きだした。

 

「たまたま手に入れたからさ」

と言い、彼はジョイントした大麻を吸い出した。

正確に言うと、この時僕は大麻を吸うのは2回目で、1回目は軽くふかしただけだった事もあり何も起きなかった。

それもあり、ためらわず友達から手渡された物を深く吸い込んだ。

深く吸い込むとめちゃくちゃむせる。

肺が痛い。

 

 


  

一服を終えると、何事も無かったようにサウナに向かった。

少し目の前がぼやけ始めた。

はっきり異変に気付いたのは頭を洗っている時だった。

 

流しても流しても泡が無くならない。

かと思ったら、次の瞬間には映像が切り替わって、身体を洗い始めてる。

やたらと時間がスローモーションで流れ始める。

イメージとしてはDVDをチャプターごとに早送りして、戻したり飛ばしたりを繰り返してる感じ。

夢なのか現実なのか分からない。

何を言っているのか分からないかもしれないけど、この感覚は経験者にしか分からないと思う。

 

「あれ顔洗ったっけ?」

身体を洗ったのが遠い昔の事のように思えて、覚えていない。

 

「オレ結構キテるわ!やばいかも笑」

隣で身体を洗っている友達に声をかける。

 

「あれ結構いいネタなんだよ。しかも二人で吸うと思ってガッツリ巻いてきたから!」

友達は鼻歌を歌いながら上機嫌で答えた。


「最悪だよ完全にバットトリップだ。大麻なんて吸わなければ良かった。」

僕は平常なふりをしながら、内心そう思った。

 

 

 


  

身体を洗い終えるのに果てしない時間を要した気がした。

時間が行ったり来たりして、平衡感覚が薄れて気持ち悪くなった。

身体を洗い終わってサウナに入った。

 

感覚が無い。

汗が噴き出してこない。

今すぐ横になりたい。

 

「ちょっとオレ無理だわ!すまん!」

僕はそう告げると、サウナから出て身体も流さず、風呂から出た。

 

 


  

着替えて、休憩所に直行して横になった。

感覚的に泥酔をした時と似ている所もあるけど、全然違う

 

「最悪だよ。大麻なんて吸わなければ良かった。」

時間が全然進まない。

水の中で藻掻いているような。

悪い夢でも見ているような。

 

「もしかしてこの夢は一生覚めないのではないか?」

「いや違う。今まで生きて来た世界が幻でこれが通常なんだ。オレは気付いてしまっただけだ。」

そんな風に意味深な思考が頭を埋め尽くす。

 

時間が行ったり来たりする。

 

すべての景色に既視感があって、涼宮ハルヒエンドレスサマーの回のような感覚になった。

 

「この時間は繰り返してる?」

そんな事に気付いたら次の瞬間別の景色が流れている。

 

「どうにか抜け出さなきゃ、おれは正常なんだ」

悪夢にうなされているような感覚と、冷静になるのを繰り返す。

 

無限に息を吸い込める感覚になる。

 

 

 


  

「うわなんだこれ!」

気付いたら身体がソファーの下に沈み込んでいく感覚になる。

疲れている時に、身体がベッドの中に沈んでいくようなあの感覚だ。

本当にソファーに沈みこんで身体とソファーが一体化しそうになる。

突如としてものすごい快楽に襲われた。

 

と思ったら、次の瞬間記憶が別の所に飛んで冷静になる。

眠りたいのに目がギンギンに冴えている。

身体が重い。

深いリラックスと、気持ち悪さと冷静さが繰り返しやってくる。

身体の感覚が鮮明になる。

頭が痒くて掻いてみると、異常に気持ちいい。

 

「もしかしたら今セックスをしたらめちゃくちゃ気持ちいのではないか?」

 

そんな事を思った。

しかし今相手はいない。

 

「でもこれは夢の中なんだからそこら辺にいる人を襲ってもなんの問題もないんじゃないか?」

 

「いやこれは現実だ。こういう風にして薬物中毒者が性犯罪を起こすんだ。」


と気付いた。

 

オレは冷静だ。

これは現実だ。

これは夢だ。

 

そんな思考が繰り返された。

何百年もの時間を過ごした気がした。

 

 


  

 

友達がやってきた。

 

「大丈夫か~?」

アイスを食べている。

 

「全然平気だよ」

平常を装ったのか、その時は本当に平常だったのか自分でも分からない。

 

「アイスめちゃくちゃ美味いよ」

 

「一口頂戴」

モナカのアイスを食べた瞬間、衝撃を受けた。

甘味がドバドバと口の中に流れ込んくる。

 

「なんだこれ!」

 

「水も飲んでみー」

口に水を含み飲み込むと、乾いた身体に水が浸透していくのが分かる。

指先の血管にまで水が流れていくのが分かった。

 

いわゆるマンチーって奴だ。

圧倒的幸福感

 

「これはグッドトリップだ!」

 

その時はそう思ったけど、またバッドトリップが襲ってくる。

 

「気持ち悪い二度と大麻なんて吸わない」

 

 


  

「マッサージしようぜー」

マッサージは40分3000円。

普段倹約家の友達が、そんな事を言い出すのは珍しい。

 

この時自分が上手く喋れていたのかは覚えていない。

まるで水の中にいるような。

言葉を発そうとすると上手く声がでない。

かと思ったら次の映像では流暢に喋っている。

 

何を言っているのか分からないと思うけど、本当にそんな感覚なのだ。

取り調べなどで薬物中毒者が意味深な事を言う理由がよく分かった気がした。

 

マッサージからは完全にグッドトリップだった。

足つぼマッサージを受けたんだけど、身体中の全神経が足に集まる。

感覚的に足に身体中の全ての神経を集中させる「全集中の呼吸」を使っている感じ。

 

めちゃくちゃ気持ちいい。

圧倒的幸福感だ。

こんな感覚味わった事はない。

 

その瞬間、流れているBGMが身体の奥底に鳴り響いてきた。

ピアノの粒子、一粒一粒の音が身体の奥底に響く。

 

すごい!

とんでもない臨場感!

間近でオーケストラでも聞いているような立体感。

ビートルズや、クイーンのフレディーマーキュリー、世界を代表するミュージシャンが薬物中毒者だった理由が分かった。

 

感覚がとぎすまされるのだ。

僕もずっと音楽をやっていたから、今なら何かとんでもない作品を残せる気がした。

 

 


  

しかし感覚は徐々に薄れていった。

車で家に帰りつけるのか心配だったけど、帰宅時はある程度酔いが冷めていたようで、普通に帰れた。

家に帰ってから、どうしても味が濃いものを食べたくてポテチとビールを買ったんだけど大麻の効果が薄まっていてそれほど感動はしなかった。

ただぼんやりとした浮遊感はずっと残っていて、その日はとても熟睡が出来た。

 

 


  

朝起きてからも、浮遊感が残っていて、そのまま仕事に行った。

いつもなら全然集中出来ない仕事も、その日は、ぼーっとする反面感覚が研ぎ澄まされているような気がしてやたらと集中出来た。

 

 

 


  

その後大麻について色々調べたけど、いいか悪いかなんて賛否両論だ。

人によって飛び方は違うし、バッドになる事もグッドになる事もある。

特に初心者の内は症状が強く出るらしい。

タバコと同じで一度吸っただけで依存するような事は無いと思う。

慣れて来てもっと強いのが欲しいと思った所から依存が始まるんだと思う。

気分が落ちている時は、バッドになり易いので絶対吸わない方がいいと思う。

 

まあ、いずれにせよ日本では非合法なので所持がばれたら捕まってしまうし犯罪だ。

僕は大麻効果でグッドトリップを経験した一方、バッドがあまりにもきつかったので、二度と吸いたいとは思わない。

 

依存してしまったら、生活に確実に支障をきたしそうだ。

 

まあもちろん人によって症状も違うし、海外では合法の国も多いし医療にも使用されているので、否定するつもりもない。

依存してしまったら身体を蝕むし、確実に健康的な物ではない。

何もかもがどうでもよくなったり、楽しい気持ちになったりもするから、辛い事があると大麻に逃げたくなる時もまああると思う。

 

現実逃避したい時にはめちゃくちゃ便利だと思う。

大麻に逃げず自分の現実と向き合うのが大事かな。

 

トレインスポッティングみたいな状況になってからじゃ遅いし笑