メンヘラと付き合うとどうなる?【メンヘラ彼女と付き合って精神崩壊した話 Part.21】

 

 

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Episode.21【メンヘラ】

 

裏口の扉を開けてバックヤードに戻ると、ケイさんが待っていました。

 

 

 

「終わった?」

彼女は僕にそう聞いてきました。

 

 

「はい。」

僕は静かにそう答えると平静を装いました。

 

 

「有難うございます。何だかスッキリしました。全部ケイさんのおかげです。」

 

本音なのか建前なのか自分でも分からないまま、そう言いました。

 

 

「そう。」

ケイさんはそう答えると、それ以上は何も聞いて来ませんでした。

 

 

 

お店の方に戻ると、ユキは何事もなかったかのようにダーツを投げていました。

彼女のメンタリティーがどうなってるのか僕には分かりません。

それとも別れた恋人に何を言われても、痛くも痒くもないのでしょうか。

恋人もいれば、傷ついた心をその場しのぎで癒してくれる人は彼女の周りにはたくさんいます。

彼女はそうやって自分の周りを味方で固めて、気に入らない奴を排除して行ったのでしょう。

 

本当に味方がいないのは僕の方でした。

Aの気持ちがその時初めて分かりました。

 

 

 

彼に謝りたい。

 

そう思っても、取り返しのつかない時間がその時流れていました。

 

ケイさんが側にいてくれた事が唯一の救いでした。

 

 

 

 

 

 


 

 

ユキはそれからも毎日お店にやって来ました。

 

どうやら僕が何を言おうが無駄な様子でした。

 

僕が何を言おうとそれは負け犬の遠吠えでしかなく、それ以上に自分の事をチヤホヤしてくれる人がたくさんいるお店を彼女は好みました。

 

 

僕はもうAと同じでした。

ズタボロになった心を隠すよう平静を装いました。

見え透いた強がりは誰の為でもなく自分の為でした。

これ以上病んだ所で精神が完全に壊れてしまうのが分かっていました。

ケイさんとBだけが相変わらず僕の味方でいてくれました。

 

「隼人さんカラオケ行きましょ!」

Bは僕に懐いて、毎日のように僕の事を誘って来ました。

乗り切らない心のまま、Bとカラオケに行ってストレスを発散していました。

 

「隼人さんあんな女最低ですよ。隼人さんならもっといい人いますから頑張りましょ!」

そんな風に、彼は毎日のように僕の事を慰めてくれました。

しかしBは中々に八方美人な奴で、僕の知らない所で他の常連ともユキとも仲良くなっている事も知っていました。

Bはそれを隠して僕に接していました。

確かにそれを知った時には苦い気持ちになりましたが、そんな事はBには関係のない事だと分かっていました。

 

 

『余計な気は使わなくてもいいのに。』

僕はそう思っていました。

 

Bは少し面倒臭いけど、憎めない奴でした。

3つも年下なのに僕が誕生日の時に焼肉を奢ってくれたり

 

「プリクラ撮リましょ!」

と言って、嫌がる僕を無理やりプリ機に連行したりしました。

 

 

 

「有難う。お前がいてくれて良かったよ。」

 

僕はそんな彼に対して、素直に言葉を口にしました。

 

 

 

 

 


 

 

何をどうしようとユキはお店にやってくるので、僕はバイトを辞める事を決めました。

彼女がお店にやってくる以上、彼女から離れるためには僕がお店を辞める事しか選択肢は残されていませんでした。

 

これ以上ユキの顔を見続けるのは、僕の精神衛生上よくありませんでした。

 

 

 

 

バイト先での最終日、僕は吹っ切れたかのようにテキーラを飲みまくって酔いつぶれました。

 

その時の事は全く覚えていませんが、後から周りから聞いた話しによると、酔っ払った僕は叫び散らし、泣きながら周りに謝り続け、しまいには号泣しながら嘔吐したと聞きました。

 

目を覚ました僕は店長に怒られ、一人きりで自分の吐瀉物を片付けました。

後にも先にも僕が酔っ払って周りに迷惑をかけたのはその時が初めてでした。

 

 

 

それから僕は気乗りしないまま就職活動を始め、やっとの思いで就職先を決定させました。

 

 

 

 

仕事が始まるまで1ヶ月時間がありました。

 

僕は病み続け、手の平から流れ落ちた物だけを嘆いていました。

音楽の夢を奪い、住むはずじゃ無かった家賃の高い家に1人で住まされ、しまいには大好きだったバイト先まで奪って行ったユキの事を心の底から呪いました。

 

 

そんな時、高校時代からの友達に会い、彼が一人でカンボジアを旅した話しを聞きました。

その話しはエキサイティングで久しぶりに僕の胸を熱くさせました。

 

 

 

 


 

 

手の平から流れ落ちた物を後悔する事に意味がないと僕は悟りました。

ユキの事を恨み、何もかもを彼女のせいにするのは簡単でした。

しかし本当に辛い時こそ向き合うのは自分自信でした。

考えてみれば僕は今まで、気付かぬ内にユキの事を傷つけていたのかもしれません。

 

 

 

「隼人さんすぐ私の事責めるじゃん!」

 

彼女はこんな事を言っていた事があります。

 

 

 

『変わって欲しい。幸せになって欲しい』

 

僕はそう思うあまり、今まで彼女の性格や家庭環境を幾度となく否定して来ました。

当然僕には責めてる自覚なんてありませんでした。

 

 

本当は否定するのではなく、どこまでも優しく見守ってあげるのが正解だったのかもしれません。

 

 

他人では無く辛い時こそ自分と向き合い、自分を責め、そして自分を許してあげてそうやって人は成長して行くのかもしれません。

 

 

辛い経験も人生のスパイスです。

どん底のメンタルの中、無理やりにそう言い聞かせました。

 

 

 

有難い事に僕には友達もいましたし、大切な人がたくさんいました。

流れ落ちてしまった分はまた別の何かをかき集めるチャンスでした。

 

 

そして僕はその勢いのままにヒッチハイクで日本を旅しました。

 

そしてその旅で僕の全てが変わりました。 

 

旅の最中にケイさんから「ユキとBが付き合い始めた。」と言う、ラインが来ましたが、もう僕にとってそんな事はどうでもいい事でした。

 

 

 

 

 

世界は思った以上に輝いていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜大切な物をかき集める旅に出よう〜

 

 

 

 

 

キャベ太

 

 

 

 

 

 

 

 

 


  

 

 

 

 

この話を誰かにすると必ずと言って良いほど

 

「元カノはメンヘラだったんだねー。」

と、そんな事を言われます。

 

僕はユキがメンヘラだなんて一度も思った事はありません。

 

そもそもメンヘラとは何なんでしょうか?

メンヘラの定義とは何なのでしょうか?

 

正直僕にはよく分かりません。

 

 

メンヘラちゃん

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最後まで愛読頂き有難うございました。

 

 

---完---