アラサーホストになる【エピソード25 自殺未遂をするホス狂い】

 

自殺未遂をするホス狂い

 

コロナの影響が長引き、何かとルールが変わり、思うように結果が出せない日々が続いた。

売り上げも上がらないし、たまに出勤する程度になっていた。

アクセルを踏みたくても踏み切れない状況が続いて、やる気も消失していた。

 

そして何よりA子といるのがしんどくなってきていた。

週に一で遊びに行くのは定番化していて、連絡も常に返さなきゃ怒ってしまうし、映画に集中したり、本を読む時間さえ奪われた。

 

その頃、彼女は体調をくずしていて、仕事にもいってなかったし、完全にニートだった。

そんなんだから、店にも来ていなかったし、僕も呼ぶのも嫌だった。

 

A子はやはり僕がホストをやっている事が気にいらなくなっていて「はやく辞めろ」と言ってきた。

 「今日は客来た?」とか「女と話した?」とか毎日のように聞いてきた。

仕事なのだから女と話すのは当たり前だ。

その度に適当にごまかすのももちろんきつい。

 

そして暇でやる事が無いからか、ホスラブを荒らし始めた。

すぐにA子が書き込んでいる事がバレて、A子が掲示板で叩かれ始めた。

そして更にヒートアップして、A子の書き込みも過激化していた。

 

基本的にホストも客も、みんなホスラブを見ている。

書き込みが元で担当と客が喧嘩になる事なんてよくある。

僕は興味も無いし心底くだらないと思っていたので、見る事も無かったんだけど、先輩が「隼人これは流石にやばいだろ」と書き込みを見せてきたから、その度にうんざりした。

 

からしたら、大営業妨害だ。

 

掲示板で叩かれた。許せない。書き込んだ奴を特定して慰謝料を払わせる」

と訳の分からない事を言い出したかと思えば、本当に弁護士に相談して開示請求をし始めた。

 

「お前が書き込んだからだろ!」

と内心思ったけど、面倒なので何も言わなかった。

 

「あなたがホストを辞めれば、こんな事はしなくていいの。私は傷つかなくていいの」

と脅迫してきた。

 

「流石に限界だ」

と思った。

 

この子とこれ以上関わっていたら、客を増やしようがない、それ所か仕事にならないし、精神的に耐えられない。

そして別れを切り出した。

 

 


  

会って、話しをしたら大変な事になる事が分かっていたから、ラインを送った。

 

「オレはまだホストを頑張りたいし、A子はオレと一緒にいても傷つくだけだから、もう会うのは辞めよう。これ以上一緒にいるのはお互いにとってよくない。」

 

要約すると、こんな感じの文を送って、無視をすると決めた。

 

 

 


  

100件以上電話がかかってきたけど無視をした。

心が痛んだ。

リスカの写真も何枚も送られてきた。

お金も相当使ってもらっていたから、弁護士に訴えるだとか、そんな内容も来た。

 

もう、どうしようも無かった。

友達もいないし、家にも居場所がない、唯一の居場所となっていた僕が突き放してしまったら、どれだけ辛いかは容易に想像できる。

だけど僕には彼女の事を幸せに出来ない。

それが嫌なら離れるしかないと言う事は何度も伝えている。

僕には僕の人生がある。それだけだ。

 

次の日の夜中に遺書が送られてきた。

どれだけスクロールしても下にたどり着かないくらい長文だった。

 

「私が死んだ事を一生後悔すればいいと思います。さようなら。」

最後はそう締めくくられていた。

 

別に本当に死ぬとは思っていなかったけど、彼女の事を嫌いになった訳でもなかったから心が痛んだ。

 

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 結局無視を貫ききれず会いに行ってしまった。

さっきまで、僕に思いつく限りの誹謗と中傷を溶びせてきたのに

 

「あなたがいないと生きていく理由が無いの。一緒にいれないなら死ぬ」

と言った。

 

手首から腕にかけてのリスカ跡と、青白い彼女の顔を見るといたたまれなくなってしまった。

それと同時にどんよりした気持ちと憂鬱が込み上げてきた。

 

「もう逃げられない」

そう思った。

 

結局状況は1mmも変わらなかった。 

 

 

 

ーーーエピソード26へ続くーーー

 

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常にマスクをしているのが当たり前な時代に突入した。

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