童貞ホストになるPart.2

 

童貞ホストになるPart.2

 
こうして僕はホストになりました。
 
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Episode.2 体験入店

 

面接が終わりその日から僕は働き始める事になりました。
初日は体験入店と言う扱いになるようです。
 
周りを見渡せば当たり前ですが全員ホストです笑
スジ盛りで派手なスーツを着た人達の中に一人だけパーカーにジーパン
 
「風呂上がりか!」
って言うくらいサラサラな髪型の自分が酷く見すぼらしく感じられました。
 
その日だけはお店のスーツを借り、髪型も自分でセットしました。
それでも周りには馴染めず浮いていたのは明らかです。
 
 
周りのホストの人達はみんな親切で優しかったので安心しました。
 
「零です。よろしくお願いします!」
と名前を源氏名で名乗る事に違和感を覚えました。
 
「うい!よろしく!」
とみんな気さくに答えてくれました。
 
驚いた事に一人だけ僕の事を知っている人がいました。
長身、黒髪でイケメンな如何にもホストっぽいその人は麗矢さんと言って「もしかして○○小?」と僕が通っていた小学校を言い当ててきてました。
 
驚いた事に名前まで知っていました。
僕は小学校からずっとサッカーをやっていて、麗矢さんは同じ市内のサッカーチームに所属していたらしいのですが僕は全く覚えていなかったので、少し気まずい雰囲気になりました。
 
 
 
そして、よく見れば顔は全然カッコよく無い人が多い事に気付きました。
本当に「イケメンだなぁー」と思ったのは麗矢さんを含め3人くらいで、その他に比べたら「まだオレの方がイケてね?」と思ったのが正直な感想です。
 
 
 
その後にミーティングで挨拶をして、シャンパンコールの練習をするのですがミーティングもシャンパンコールも真剣そのものでした。
 
 
 
「姫様!ワッショイ!ラーラーラーイ!!」
 
と、謎のコールを真剣にやると言うのは何だかシュールな光景で僕は戸惑いました。
しかし真剣にやらないと代表に胸ぐらを掴まれます。
代表は常に僕達の事を監視しており、現場は常に緊張感に包まれていました。
 
そして店の掃除、セットをして19時から開店です。
 
 
 
 
しかし19時を回って1時間経ってもお客さんはやって来ません。
 
それから30分程経ってようやく一人のお客さんがやって来ました。
 
僕はヘルプでその席につかせてもらう事になりました。
ヘルプと言うのは指名ホストとは別に席につき、その場を盛り上げる言わば補助役見たいなものです。
指名を取れないホストは基本的にヘルプをやる事になります。
 
僕が席に着いた時にはゲームをして負けた人が飲むと言う流れになっていました。
そして僕は純粋にゲームを楽しみました笑
 
 
 
「何これ!めっちゃ楽しいじゃん!!これで金もらえるとか最高すぎだろ!!」
 
その時僕はこう思いました。
 
 
 
 
しかしその後、お客さんは一人もやって来ませんでした。
 
 
 
 
 
それもそのはずホスト業界は完全に下火でした。
少し前まではお金持ちの女社長などが大金をつぎ込んでいったそうなのですが、バブルが弾けてからと言うもの需要が薄れて行き、客足は減る一方でした。
新規で来るお客さんも1日に1組くればいい方です。
 
もちろん場所によりますが、僕が働いていたお店は少なくともそう言った状態でした。
映像で見たような派手な盛り上がりを想像していた僕は完全に拍子抜けしました。
 
 
営業終わりのミーティングでは、お客さんを呼べなかった先輩ホストが代表に一人ずつ詰められていました。
その様子を見て僕は完全に甘く見ていた事を痛感しました。
 
 
想像より遥かに厳しい世界でした。
 
 
給料のシステムは1ヶ月で50万円以上売り上げた者のみ歩合制になり、売り上げの半分が給料として貰えるというシステムです。
つまり、50万円売り上げれば給料は25万円、100万円売り上げれば50万円、1000万円売り上げれば500万円と言う事になります。
 
最初に聞いた時は「なんて夢のある世界なんだ!」と思いましたが、
当時僕が働いていたお店にはプレイヤーが10人程いましたが50万円以上売り上げているのは2人だけでした。
代表は現役を引退していましたが、週に一度、女社長のお客さんを一人だけ呼んでいて、その人が月に400万円程使うのでそれでお店が潰れずに持っていました。
代表は現役を引退しながらも一人の太客だけで月に400万円も売っていたのです。
 
簡単に稼げると甘く見ていた僕ですが、一度足を突っ込んだら引く訳には行きません。
そしてまた根拠の無い自信が湧いて来るのでした笑
 
 
 
「オレはこそ世界で成功する!」
 
と、
 
こうしてホスト零の1日目が終了しました。
 
  
↓当時の僕

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ーーーーPart.3へ続くーーーー

 

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