童貞ホストになるPart.3【夜の世界の裏側】

 

童貞ホストになるPart.3【夜の世界の裏側】

 
 前回の記事でも記述しましたが、業界は完全に下火でした。
 
前回までの記事↓↓↓↓
 
 
ホストに通う客層とは
 
バブルが弾け、お金持ちの女の人が減っていく中、お店にやって来るお客さんの中心は若い女性でした。
 
普通の仕事をしている人がお金を持っているケースは少ないので、お金を落としてくれるお客さんのほとんどが水商売をしている女性でした。
 
普通の仕事をしている人には、お金をたくさん使わせる為に売掛をさせ、仕事を辞めさせ、風俗で働かせるなんて言うのが当たり前にある話でした。
 
営業前や営業後のミーティングではお客さんにお金を使わせる為に、そう言った話が常に交わされます。
とても残酷な話ですがそれが裏側で、完全に下火のこの業界で勝ち上がって行く為にはそれが当たり前でした。
 
 
よくホストはキャバクラの男版だと考えられたり、働いている人からは同業者などと言われますが、正直裏での残酷さや過酷さ、闇の深さでは非にならないと思います。
 
 
指名客を獲得するまでの流れは
 
指名客を獲得するまでの流れは、新規で来店したお客さんに気に入ってもらい次回以降指名で来店してもらう。
キャッチをして捕まえる。
基本的にはこの2パターンです。
 
しかし新規で来るお客さんは少ないのが現状で、初回荒らしと言って冷やかしで来るお客さんも多く、売れないホストの多くは寝る間を惜しんでキャッチをしていました。
そのくらいしないと指名のお客さんを獲得できないのが時代の現状でした。
 
 
夜の世界の裏側
 
さらに先輩ホストが代表に殴られる所、ヘルプの席で飲まされすぎて病院に運ばれるような事態を幾度となく目にしてきました。
 
当然ホストにハマって人生を狂わせてしまった人の末路も何度も目にしました。
 
こうして僕は華やかな世界の裏側をどんどん知って行きました。
 
 

初指名

 
最初の1ヶ月は何の手応えもなく終わりました。
当然指名客を呼べるはずもなく、貰えた給料は20日ほど働いて6万円でした。
 
最初の1ヶ月で指名客を呼べるホストは少なく、半年かかっても呼べない人などざらにいます。
入れ替わりの激しい世界ですから、そうやって夢を見た若者達は散って行くのです。
 
 
僕はとりあえず自分に出来る事を一生懸命やりました。
ヘルプの席では盛り上げるべきトークを試行錯誤しましたし、お客さんがいない日の店の掃除、ティッシュ配りも全力でやりました。
営業後は先輩について行ってキャッチにも行きました。
それでも大した手応えはつかめずにいました。
 
 
 
 
しかし入店から2ヶ月、「新規」でやってきたお客さんがたまたま同じ年で、地元が近く共通の知り合いも多かった事で会話が盛り上がりました。
そこから彼女とは仲良くなり、何度か食事をした後初めて指名客として呼ぶ事に成功しました。
自分の席に先輩がヘルプでついてくれて、シャンパンも入れてもらいシャンパンコールや何やで最高に高揚したのは今でも覚えています。
 
しかし彼女とはそれきりでした。
他のホストにハマって風俗で働き始めた事を噂で聞きました。
そしてどんどんホストに堕ちていったらしいです。
 
僕には人の人生を狂わすほどの魅力がない事も承知していましたし、良心が働き人を騙す事なんてできないのが元からの性格でした。
 
そしてそれはどうにも変える事なんて出来なかったのです。
 
 
ホストを始める人はどう言う人なのか?
 
ホストを始める人は元からイケイケな人なのだろうと僕は想像していましたが、実際にはそうでもありませんでした。
どちらかと言うとコンプレックスを抱え、自分を変える為にこの世界に入って来た人が多いような気がしました。
 
僕が働き始めてから入って来た新人は明らかにオタクでコミュ障な感じの人もいましたし、女性と話すのが苦手でそんな自分を変えたくてと言う理由の人もいました。
 
そういった人はすぐ辞めていきましたが‥
 
 

実際どんな人が働いていたか(ホストのリアル)

 
 
31歳アル中、借金まみれのヒカルさん
 
一番仲が良かった先輩のヒカルさんは31歳アル中、借金まみれで、朝、夕、新聞配達をしてから出勤していました。
喋りも下手だしカッコよくもないし、挙動不審だし、アル中で手が震えるしで、およそホストとは真反対の人でした。
 
お客さんにもスタッフにもボロクソにディスられていました。
 お客さんに「お前キモいんだよ!てかお前童貞だろ!笑」とディスられながらも「ホストは無料で酒が飲めるからいい。」と言い、仕事を続けていました。
 
 
虚言癖の楓さん
 
めちゃくちゃ明るかった楓さんは虚言が過ぎました。
僕がサッカーをやっていたと言う話をしたら、「俺も昔サッカーやってて鹿児島実業でエースだった」とか、元暴走族の総長だったとか、
TMレボリューションの西川さんに歌を教えてもらってたとか、東京に来る前は大阪でホストをやっていて売上が1千万あったとか、無理すぎる設定を作り上げていました。
 
Facebookの「知り合いかも」に楓さんが出て来たので覗いて見たら、「高校名」の欄が本田西高校と書いてありました。
 
どこやねん!笑
 
 
いじめられっ子の麗矢さん
 
僕の事を元々知っていて、事あるごとにイチャモンをつけて来た麗矢さんはやたらと「昔悪かった自慢を」してましたが、共通の知り合いに聞いて見たらずっといじめられていたと聞きました。
 
小学校のサッカーチームではキーパーをやっていたと言っていました。
思い返して見たら麗矢さんが入っていたチームのキーパーを僕らはずっと「ザル」と言っていました。
 
 
酒癖が悪すぎるタカヒロ
 
後輩で一番仲の良かったタカヒロは病気の母親と2人で暮らしていました。
母親に楽をさせたいと言う気持ちからホストを始めたと言っていました。
酒癖が悪く、酔ったら道で喧嘩を売るし路上の看板をぶち壊したりする奴でした。
 
一度新規で来てくれたお客さん2人と4人でアフターに行った事があるのですが「オレの事指名で来てよ。」と言うタカヒロに対し「お金が無いから行けないよ。」とお客さんが言いだしました。
 
そのお客さんはシングルマザーで子供を育てながら働いていて、借金もありホストに来る余裕なんてありもしませんでした。
そうと分かるや否やタカヒロはブチギレ
 
「お前ぶっ殺すぞ!」と言い、暴れ始めました。
お客さんは完全にビビって泣き始めました。
僕は必死でタカヒロを止め外に連れ出しました。
 
帰る途中もタカヒロは看板という看板をぶち壊しながら暴れ続けました。
それから一週間後、タカヒロは母親が死んだと言って店に来なくなりました。
 
 
お酒が飲めないのにNo.2の月さん
 
No.2だった月さんも「昔いじめられていた。」と言っていました。
代表からも期待されていた彼は結果が出せなかった度に代表に詰められ、20歳になったばかりで全然お酒も飲めないのに、限界まで飲まされ、僕は「死んでしまうんじゃないか?」と ハラハラしていました。
 
一度月さんが仕事を休んだ事があって「月さんはどうしたんですか?」と先輩に聞くと「今警察にいるよ。」との事でした。
 
ムカつく客ともめて腹が立ち、首をしめて半殺しにしたと言っていました。
月さんはどちらかと言うと優しくいじられキャラで、そんな事をするとは想像も出来ませんでした。
 
月さんが出勤してから話を聞くと客に弱みを握られ「お前の恥ずかしい写真をばら撒くぞ」と言われたらしいです。
 
そのお客さんは1ヶ月に50万くらい使ってくれる太客だったのですが、そのお客さんと切れたせいで月さんはナンバー落ちして、また代表に詰められていました。
 
詳しくは聞きませんでしたが、ホストに大金を貢ぐような人は心に闇を抱えている人がほとんどで、関わって行く上でトラブルはつきものです。 
 
 

夜に散る

 
その後、3ヶ月ほど仕事を続けましたが、指名客を呼べたのは3回だけでした。
当然まともな給料はもらえず、家賃も払えず、学費を払えなかった芸能学校も辞めました。
 
そうして僕は夜に散りました。
 
 
 
 
 
  
 
ーーーー完ーーーー