アラサーホストになる【エピソード11 ホストクラブの痛客】

 

週5で9時から18時まで働いて、週5で19時から25時まで働く。

この頃にはそれが当たり前になっていて、体力的に結構ギリギリだった。

 

客からは、いついかなる時でもラインが2秒以内に返ってくる。

その返信の速度に本当にうんざりした。

 

もちろん客にラインを返すのもホストの仕事の一つで、ラインを返して仕事を終えたと思ったら、またすぐに新しい仕事が入ってくるのだからうんざりするのも当たり前だ。

 

 

ストーカー化するホストクラブの客

 

11月に入ってから、N子は週3くらいのペースで店に来ていた。

 

稼ぎが無くて店にこれない日は、店の前で僕が出てくるのを待っていた。

 

来た時は終電前に送り出すんだけど、わざと終電を逃して、一緒にいたいから待ってる。

と、言ってずっと僕の事を待っていた。

  

「終電逃したから待ってる。」

と言われても、酔いつぶれた体にして、ばれないよう逃げるように帰宅した。

帰宅してからも、電話とラインが何度も来て、雨の日に朝5時までコンビニの前で待っていた事もあった。


「ごめん昨日飲みすぎてつぶれてた」

流石にそのまま放置しておく訳には行かないので、次の日に返事をした。

 

「寂しくて一人で泣いてたよ」

と来た。

 

もちろん、そんな事をしといて平気なはずは無いし、嫌になった。 

しかし、それに付き合ってしまったら僕の身が持たない。

 

これだけ聞くとほぼほぼストーカーだが、あくまでも客だ。

 

やむを得ず一緒に出掛ける時もあった。

 

 

ホストクラブの痛客

 

同伴の約束をした時の話しだ。

 

「今日は一緒に行きたい所があって、青山に行きたいの。あと革靴を履いてきて。」

と言われた。

 

「青山?どうして?」

何か嫌な予感がした。

 

「サプライズしたくて、ちょっとある所を予約してしているの」

 

サプライズしたくてと言っちゃってる時点でサプライズではない。

行ったらやばい気がした。

 

「気持ちはうれしいけど、どこに行くか先に教えて欲しいな。分からないと不安だから」

そう言うと、URL が送られてきた。

 

 

 

開いて驚得した。

 

 

 

結婚式の撮影の前撮りだった。

 

 

「今ならドレスとタキシードを無料でレンタルしてるらしくて、1万円で写真が撮れるから撮りたいの!」

 

抽選で50名までのキャンペーンで、当選したとの事だ。

 

「ラッキーでしょ!」

 

からしたらアンラッキーだ。

 

「少し気が早いかもしれないけど隼人さんと撮れたら幸せ!」

 

早すぎる。

 

新型コロナウィルスの感染拡大より早い。

ウサインボルトより早い。

下手すりゃのぞみより早い。

てか、そもそも気が早いとかそういう問題では無い。


とりあえず早急にキャンセルさせなくてはと思った。

 

「気持ちは嬉しいけど、流石にこれは違うんじゃないかな?今からでもキャンセル出来る?」

 

何も言い訳が思いつかなかったからシンプルに言った。

 

「分かった」

浮かれてたN子は、一気に意気消沈した。

 

結局その日は僕のおごりで、庄屋に行った。

f:id:Hm88100608:20210301001719p:plain

 


 

もう少しエピソードを紹介する。

 

twitterのアカウントを作ったからフォローして」

と言われた事がある。

 

「怖いなー」

と、思いながらフォローしてツイートを見ると、そこには僕に対する想いだけが呟かれていた。

 

「今日は一緒にいれて嬉しかった君と出会えて私は幸せだよ」

「優しくて私の事を一番に考えてくれる君が大好き」

「一生懸命頑張ってる君をずっと応援する」

「辛い事もたくさんあるけど君の為なら頑張れる」

 

見たいな事が永遠と呟かれていた。

普通に怖かった。

寒気がして、全部読む事が出来なかった。

 

もう一つ驚いた事が、僕以外にも数人フォロワーがいた事だ。

 

「彼氏さんとラブラブなんだねー!応援してるよー!」

他のフォロワーからコメントが来ていて、気持ち悪かった。

 

こんな物を見せられてどんな反応をすればいいのだろうか。

 

自信のtwitterアカウントで絡む訳にはもちろん行かない。

言ってしまえば営業妨害にもなりかねない。

定期的にタイムラインに流れてくるそのつぶやきを僕は無視し続けた。

 

 

枕営業が出来ない

 

初回の日以降、2回だけホテルに泊まった事もあった。

終電逃したからと言われ、流石に毎回無視をするのに心が痛んだ結果だ。

 

SEXするのは絶対嫌だから、彼女が寝るまでベッドに入らず、椅子に座ってDVDを見続けた。

 

そんな時は長期戦だ。

 

「ねむーい。まだ寝ないの?」

 

「先に寝ていいよ。オレ眠くないから」

 

彼女は僕が来るのを待ってる。

 

ロッチの単独ライブのDVDが終わるのを待ってる。

 

 

 

終わってしまった。

 

 

「終わったー?」

 

「うん。終わったけど面白かったからもう一回見るわ!」

 

「嘘でしょ?」

 

本当は二回も見たいはずがない。

 

ようやく寝たかと思って、テレビを消そうとすると

 

「ねむーい!!」

と言ってガバっと、起き上がった。

 

「眠いなら寝ろよ!!」

思わずキレてしまった。

 

「ゾンビかよ!」

と思った。

 

結局ロッチの単独ライブを3回見た。

f:id:Hm88100608:20210301001743p:plain



 

 

 

 ーーーエピソード12へ続くーーー 

 

www.kyabeta.net

 

 

 


 

立川駅前でキャッチをしていた時

f:id:Hm88100608:20200604011210j:plain