アラサーホストになる【エピソード5 ホストクラブのエースって】

  

エース

 

客の中で一番お金を使ってくれる子をエースと言う。

これもホスト用語なので、ここで触れておく。

 

ホストの売り上げを安定して支えてくれるエースの多くが風俗嬢だ。

 

たくさん細い客を抱えているより、1人大金を使ってくれる太客がいた方が全然強い。

言ってしまえば、毎月100万円使ってくれる客が1人いれば、それだけでホストの生活は成立してしまうし、うちの店でならナンバー1.2を狙える。

 

怖い話しだが、売り上げを上げる為に、昼間の仕事の客を風俗に転職させて、金を稼がせるなんて事もザラにある。

 

人店して3か月経った10月

僕にもエースが出来た。

 

先輩のホストで一番仲が良かった、あゆむちゃんがツイキャスで引っ張て来た子だった。

あゆむちゃんは僕が入る1ヶ月くらい前に入店した先輩で、ちょいちょいツイキャスから客を連れてくる。

 

うちに来る前は歌舞伎で5年ホストをしていたらしい。

何がきっかけかは知らないが歌舞伎をドロップアウトして、立川にやってきたみたいだ。

色白で背が高くて、可愛い顔をしてる。年齢は30歳だけど、全く見えない。

未成年でも通用しそうな感じがする。

 

そしてこのあゆむちゃんは中々クズだ。

 

 

ホストはクズが多い

 

自分にエースが出来て、ナンバー入りした経過は後で説明するとして

クズすぎるあゆむちゃんの性格をここで説明しておく。

 

まずあゆむちゃんはレギュラーなのに、遅刻欠勤が多すぎる。

 

ナンバーにも入っていたし、ホストとしての売り上げもそこそこあったけど、結局、罰金や売り掛けが多すぎて給料がマイナスになっていた。

 

どうやって生活していたかと言うと、一人の客から裏引きして生活をしていた。

会う度に、何かと理由をつけて諭吉を巻き上げていた。

いわゆるママ活みたいなものだ。

 

まあ、はっきりいってホストはクズが多い。

金の無い環境がそうさせるのか、元からクズなのかは知らないけど、客から裏引きしているホストなんてザラにいる。

 

しかし、店に金を入れて売り上げにするか、直接金をもらうかの違いで、少し冷静に考えると大差も無い気がする。

結局の所、客は担当ホストの事が好きで会いたいだけのパターンが多いので、店で会って金を使おうが、外で会って金を使おうがそんなに変わらないのかもしれない。

この辺はどうしてもグレーゾーンの仕事をしていると脳がバグってくる。

 

しかし、あゆむちゃんの何がクズいかって、 客から幾ら裏引きしようと、その金を秒でパチスロに溶かす事だった。

 

「さっきまで4万あったのに」

と、そのような事をよく言っていた。

 

ギャンブル好きなホストもめちゃめちゃ多い。

金が無いくせにギャンブルをやる。

 

やっぱり根っからクズなのかもしれない。

 

 

一旦話を戻す。

 

そんなクズのあゆむちゃんがツイキャスで連れてきた客が、僕の最初のエースになった。 

 

出会いが結構衝撃的だったので書いておこうと思う。

 

 


  

第一印象。

 

ひどいなー。

と思った。

化粧もしてないし、 ウザったいくらいに重たい髪はボサボサで清潔感が無い。

 

おしゃれにも一切気を使っている様子はないし、体系はずんぐりむっくりで、まあヲタクと言うか、腐女子感がすごい。

 

なんと言うか、妖怪ウォッチに出てくる妖怪みたいだなと思った。

とてもお金を持ってそうな感じはない。

 

あゆむちゃんが連れてきた客だし、あゆむちゃんが送りになるだろうと思いながらも席についた。

ホストは初めてらしく緊張している様子だ。

向こうから喋る感じでもなさそうだったので最初はこちらが喋り倒した。

 

ある程度、緊張がほぐれたかなって言うタイミングで色々質問をしてみた。

 

 


 

まずびっくりしたのが彼女は、今朝愛知から東京に家出をしてきたと言う事。

 

家出の理由は東京の彼氏と同棲を始めるからとの事。

 

彼氏と一緒になる為に親の反対を押し切って、家出をしたその日に

何故ホストクラブに来ている!?

 

気にならずにはいられない。

 

話を要約すると

 

上京初日の今日、同棲を開始するはずの彼氏と連絡が取れなくなったらしい。

そんなこんなで勢いで上京したもの、行く当ても無く途方にくれている事をツイートしたら、あゆむちゃんから「店に来れば」 とリプが来たらしく、今に至るらしい。

 

聞いても大丈夫な雰囲気だと判断したので深掘りしてく。

 

「彼氏とはどこで知り合ったの?」

 

Twitter

 

別にここはそんな不思議な所ではない。

 

「遠距離だけど、今まで何回くらい会ったの?」

 

「まだ会ったことはない。」

 

 

 

 

 

!?

 

 

 

 

 

「会ったことないの!?」

 

 

思わず声が大きくなってしまった。 

 

 

(それは彼氏なのか!?)

 

 

何かと疑問に思ったけど、これ以上つっこむ事ではない。

お客様に不快な思いをさせてはいけない。


新規の客にはホストが入れ替わりで着く事になってる。

名前を呼ばれたから席を抜けた。

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出勤してるホストが一巡してから、あゆむちゃんに呼ばれた。

 

「隼人あの子いる?」

 

「いる?」

 

「隼人がいるなら推しとくよ。」

 

「あゆむちゃんはいいんですか?」

 

「うん。オレ他の客来てるし、アフターもあるから。その変わり指名もらったら、朝まで一緒にいてあげてね。あの子行く場所ないから」

 

 

 

 

 

 

「マジか··」

 

 

 

 

 ーーーエピソード6へ続くーーー

 

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徐々にホストっぽくなって来たと言うか、単純に自撮りが上手くなって来ただけ。

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